こんにちは、カウンセラーの河合です。
いつの間にか季節が移り変わって、最近は初夏だなと感じる日もあるように思います。
今年の春は卒業式も入学式も残念ながら挙行できませんでしたが、とにもかくにも、新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
直に集って語り合うことが難しい状況の中で新生活を始めるのは、非常にストレスフルなことであったろうと思います。いつもとは違うやり方でつながりを探すことになるでしょうし、ごく普通の当たり前にあったであろうサポートを得るにも苦労することになるかもしれません。困難な時だからこそ工夫をこらして、ひとりきりにならないようにできたらいいなと思っています。学生相談所も何かお力になることができるかもしれません。困った時はどうぞ遠慮なくコンタクトしてください。
物理的に人に出会う機会が激減したなか、わたしが意識的に出会うようにしているのは本です。
人であっても、本であっても、出会うと対話が始まるので、わくわくします。最近読んで面白かったのは、作家の川上未映子さんが聴き手、村上春樹さんが語り手の「みみずくは黄昏に飛びたつ」というインタビュー集です。川上さんが正面から村上さんにぶつかっていくさまがとても熱くて、ひりひりとしたものを感じました。真摯に向き合うということとその熱量に圧倒されたというか。
村上さんが小説を書くことを説明するときに使う、一軒の家の比喩はカウンセリングにも通じるものがあるかなとも思いました。「1階はみんながいる団らんの場所で、楽しくて社会的で、共通の言葉でしゃべっている。2階に上がると自分の本とかがあって、ちょっとプライベートな部屋がある。地下1階にも何か暗い部屋があって、わりに誰でも降りていける。でもさらに通路が下に続いていて地下2階があるんじゃないか。小説の中で行こうとしている場所はそこではないか」言葉で言うほど簡単なことではないと理解しているけれど、1階にも地下1階にも地下2階にも行って帰ってこられる人間でありたいと思っています。
みなさんの学生生活が、よい出会いと対話に恵まれますように。