今週もよくぞよくぞ、金曜日までたどり着きましたーー!
若い世代の皆さんの中でピンとくる人は少数派かもしれませんが、コラムニストのジェーン・スーさんとフリーアナウンサーの堀井美香さんがMCを務めるラジオのPodcast番組での有名な決まり文句です。毎週金曜日に配信され、番組の冒頭にリスナー(番組内では「互助会員」と呼ばれる)に向けて、必ずこのフレーズが「1週間の労い」として呼びかけられます。実生活では、人から労いの言葉なんてなかなかかけられないかもしれませんが、この言葉を聞くたび、自分もなんとか1週間頑張ってきた!と、ささやかな達成感を感じられるから不思議です。皆さんも、毎週同じように過ぎていく1週間だと感じたり、今週はたいして何もできなかった1週間だったと振り返ったりすることがあるかもしれませんが、「できなかったこと」よりも、「少しでもやったこと」に目を向けて自分を労えると、気持ちが落ち着くかもしれません。
そんな自分を労う、自分を思いやる方法として、「セルフ・コンパッション(self-compassion)」という概念があります。「自分への思いやり」とも訳されますが、うまくいっているときには祝福して喜び、苦しいときには自分にやさしくして、広い心で接しましょうという考え方です(Desmond,2017; 中島訳,2018)。もともとは仏教伝来の概念で、実践することによって「あるがまま」を受け入れられるようになるとされています(有光,2019)。では、「あるがまま」と聞いて、皆さんはどんな自分が頭に思い浮かぶでしょうか。だらしない自分? 自信が持てない自分? 何にもやりたくない自分? 怒りっぽい自分?・・・それとも、素晴らしい自分? 努力家の自分? やさしい自分? 人のために動く自分?・・・。ネガティブな側面もポジティブな側面もあるかもしれません。あるいは、あるがままの自分について言語化が難しいと感じることがあるかもしれません。ずっと努力を続けて、何かを達成すれば、また次の課題がやってきて・・・と、走り続けてきた人にとっては、「こうありたい」自分は見えていても、今現在の「あるがまま」の自分は見えにくいということもあるでしょう。なかには、「こうありたい」自分を見失って、さまよっている状態という人もいるかもしれません。
セルフ・コンパッションの考えによれば、負の側面も含めて、今現在の自分を受け入れられる心の土壌を育てることができるとされています。今年は過酷な猛暑に頻発する地震、熊騒動などなど、不穏な出来事も多かったので、ようやく12月までたどり着くことができたといえるのではないでしょうか。困難な状況が多いからこそ、自分自身のやさしい友達になり、心温かく、穏やかで、安心感に満ちた心のあり方を見つけ、どんな自分であっても自分を労うことができたら、それだけで十分な気がしてきます。学生相談所は来年も、皆さんにとって安心感を抱くことのできる場所になるようにと願っています。今年の最後に、ぜひ次の言葉を心の中で唱えてみてください。
今年もよくぞよくぞ、12月までたどり着きました。本当にお疲れさま・・・
〜〜〜良いお年をお迎えください〜〜〜
引用文献:
Desmond,T. (2017). The Self-compassion skills workbook: A 14-day plan to transform your relationship
with yourself. W. W. Norton. (中島美鈴(訳)(1998). セルフ・コンパッションのやさしい実践ワークブック 星和書店)
有光興記(2019). セルフ・コンパッションと「あるがまま」 心理学ワールド,87,13-16.
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