朝の上野公園にて Apple iPhone X, 4mm, 1/1500sec, f/1.8, ISO/20
こんにちは。カウンセラーの高野です。藤原先生はゼルダにハマっているようですが,私の昨年のベストゲームは「Nier:Automata」でした。爽快なアクション,想定外のストーリー展開,そして,極上のBGMがたまらない作品でした。
それはさておき,新緑が鮮やかで,暑くもなく寒くもなく,外を歩くのが心地良い季節になってきました。ところで,皆さんは普段歩いている時に何をしていますか? 何の気なしに歩いていると,自分が気になっていることや,今頭に引っかかっていることを,「今日はあれをしようかな…」「そういえばこの前の話はどうなっていたっけ?」「いやだな,あの仕事…」というふうに,ああでもない,こうでもないと,いろいろと考えながら歩いているのではないかと思います。
目を覚ましている間何かしら考え続けるのは,言語を使って考えることができる人間特有の便利な能力です。ただし,この便利な能力は,イヤな気持ちについても効果を発揮してしまいます。イヤなことについて,「あのときこうしておけば…」「こんな自分じゃこの先うまくできるはずがない」「またあの人から酷いことを言われた」というふうに,ああでもない,こうでもないと考えているときは,過去や未来への思いにとらわれて,心ここにあらず(=マインドレス)の状態に陥りがちです。今この瞬間にありのままに注意を向けて(=マインドフルに),それを受け止めることができるようになると,苦痛に振り回されない⽣き生きとした⼈⽣を歩むことつながります。
歩くということは,皆さんも毎日やっているありふれた行為ですが,単に歩いているときにも,メディテーション(瞑想)の練習をすることができます。いつでもどこでも構いません。静かに歩きながら,心に浮かぶ考えや感覚に「耳を傾けて」みましょう。目に入ってきたもの,心に浮かんだ考え,身体の感覚などに注意を引かれたら,それをそっと眺めるだけにして,今この瞬間に生じることに注意を傾けてみましょう。
慣れないうちは,自分の思考に飲み込まれ,流されてしまって,「心ここにあらず」の状態になってしまうことが多いと思います。考えに飲み込まれてしまったら,慌てたり,焦ったりする必要はありません。また,今この瞬間に戻ってきましょう。今この瞬間に触れながらマインドフルに歩くことで,自分の思考に飲み込まれる状態から離れることができるようになります。そして,今この瞬間に心が開かれるようになると,単に歩くという行為がいかに奥深いことかを実感できるようになるはずです。
口で言うほど簡単なことではありませんが,繰り返し練習すればだんだん上手になるはずです。外を歩くには良い季節です。皆さんもマインドフルに歩いてみませんか?
(文章・写真:高野 明)