オープンワールドゲームと新年度のお話

2018.04.02

こんにちは。カウンセラーの藤原です。遅ればせながら「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド(以下ゼルダ)」をやってます。

ゼルダは、「オープンワールドゲーム」です。多くのゲームにはシナリオがあって、特定の敵を倒さないと転職出来なかったり、特定の人と話さないとボス戦に進めなかったりします。しかしゼルダの場合、最初のチュートリアル的なステージをクリアすればいきなりボス戦に進むこともできます。そもそも敵と戦わずに姫との思い出の地巡りをして写真撮影に勤しんでもいいですし、いろいろな素材を集めて料理レシピを探求することもできます。一応チャレンジすべき敵はいますが、倒しても倒さなくても構いません。広いフィールドで自分の好きなことができるゲームなのです。…これって現実の世界と似ていませんか。何をするにも自由、大きなチャレンジをするのも、手近なところで楽しむのも、自分の選択次第です。

ところで、このコラムで伝えたいのは「だからゲームを捨てて街へ出よう」ということではありません。

ゼルダの自由さにはこれまでにない解放感や楽しさがあります。でも、こういうタイプのゲームに戸惑う人もいるのではないでしょうか。

何か目指すべきものに向かって進んでいくことのほうが得意な人は少なくないでしょう。(受験勉強はまさにこういう体験だったはずです。)また、小さな目標をクリアすることが大きな目標達成に繋がっているという達成感はシナリオが一本道のゲームだからこそ味わえる楽しみ方です。そんな人はゼルダのような自由すぎる設定には面食らうのではないかと思います。事実、私はチュートリアル後にどちらに進めば良いのか皆目分からず、地図もないフィールドを何時間もグルグル歩き回ったあげく、強すぎる敵に遭遇して一撃でやられる羽目になりました。

それでも私が自由すぎるゼルダを今のところ楽しめているのはゲームオーバーになってもボタンひとつでリトライできるからです。見たことがない場所、強そうな敵に挑む前にセーブすれば無傷の状態で戻ってこられるからです。(それでもさじ加減が分からずにしょっちゅうゲームオーバーになってしまっていた序盤ではリトライすら嫌になったりもしました。)

失敗した場合のやり直しや回復がもっと大変だったら、早々に投げ出していたことでしょう。自由を楽しむためには、失敗しても回復できるという安心感や確信が必要なのだと思います。

さて季節は春になり、皆さんには新しい環境との出会いがあることでしょう。新しいチャレンジや自分らしい生き方を模索したい、むしろそれらを自ら探し求めなければならないと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし自由すぎる状況の中で、何の指針もなく、そして失敗したときの回復方法をよく知らずにそのような環境に挑ばねばならないことは、私たちにとって実は結構ストレスがかかることではないかとゼルダをプレイしながら感じたのでした。

学生相談所では一本道のシナリオや万人向けの攻略法は準備していませんが、今のあなたにおすすめのクエストを提案する村人の役割くらいはできそうです。もしオープンワールドで道に迷ったときは、どうぞ学生相談所をお訪ねください。