神話的時間(もしくは現実逃避)

2018.02.28

1週間の仕事を終えて、ほっと一息。ビールを一口。ふーっ。

ふと、鶴見俊輔さんの『神話的時間』という本を思い出しました。人は皆だれでも、生まれてしばらくは物理的・現実的な時間ではなく、神様も仏様も悪魔も鬼もいれば、過去も未来も現在も自由に行き来できるような、まさに神話の世界のような時間の中で生きている、と言います。たとえば、小さい子どもが、

おかあさん きょうのおひさま  げんきがないよ

というような時間。なんとも素敵な時間です。

それが、いつの頃からか、人は現実的な時間に追われて生きるようになっていきます。宿題や習い事に追われるようになる小学校はもちろん、もっと早くはトイレや食事のしつけを身につけなければならないという経験をする2,3歳頃から、「はやくはやく」と現実が押し寄せてきます。

そして、それは大学生になっても社会人になっても続きます。なんとも忙しい人生です。学業、研究、就活、進路、友達、家族、恋愛、バイト。どれも待ったなしに迫る現実です。どうしてもその現実には圧倒されてしまうものです。

だからこそ、せめて面接室での時間は、忙しい時間から一歩離れて、神話が宿るような時間にできたらと思っています。まだ見ぬ自分の可能性や創造性に身を委ねてもいいのかもしれない、と少しでも感じられるような、そんな時間にできたらと。

翻って我が身。「〆切」「期限」「必着」「計画」。時間が怒涛の波状攻撃。こりゃたまりません。神話が宿る隙もありません。

ふと思い出しました。そういえば、お酒にはバッカス様という神様がいるんだっけ…。

バッカス様がそっと仕事を進めてくれることを信じて、今日はもう一杯だけ…。

(大塚)