本郷キャンパスでは色づいた銀杏の葉が散って一面黄色いじゅうたんのようですね。
カウンセラーの榎本です。
今日は焦りについて考えてみます。実は1週間ほど前、締切仕事に追われ「もしや…これは終わらないのでは」と焦りに襲われたことがありました。迫る期限と残りの時間、目の前の作業とまだ終えられていない仕事の量、睡眠不足と体力の限界。「間に合わなかったらどうなるだろう」とふと想像したとたんに一瞬、背中がヒヤッ!
焦りと一言で言いますが、実は4つの要素で構成されています。まずは「行動」です。思い煩っているだけで手を動かしていない、あるいは一貫性なくやみくもに動く、思いつきで動くなどです。次に「思考」としては、できていないこと、うまくいっていないことを反芻して考えていたり、先のこと、将来を憂いていたり、自分自身を否定的に評価していたりします。「感情」としては不安や恐怖、困惑や切迫感を強く感じ、「身体反応」として過度に緊張したり頭に血が上ったり、寝つきが悪くなったりすることもあるかもしれません。
また、焦りが生じるまでにはいくつかの引き金があります。一つには、時間を意識すること。締め切りまでの時間がもうあまり多くないことを自覚したとき、急に焦りを感じ始めるとか胸が締め付けられるような感覚を味わう等の経験はありませんか。二つ目には、他者を意識することです。自分と同じような状況にある人がよい成果を上げていると知ったり、高い志を持って頑張っている姿を目の当たりにしたり。そういう機会があると自分の状態と比較し焦りを感じることがあります。そして三つ目は、予想外なことが生じるときです。発表直前に資料を手直ししていたらパソコンがフリーズした、プリンターが動かなくなった等で冷や汗をかいたことがある人もいるのではないでしょうか。
焦りはそもそも「よりよくありたい」「なんとかしたい」という建設的で前向きな願いが土台にあり、そこに急く気持ちが上乗せされて生じる感情だと言えます。焦っているなと気づいたら、それは自分にとって大事な問題であり、かつ自分がコミットしたいと思っている証だとも言えます。焦りは変化し収束しますので、あまり恐れずに向き合いましょう。
焦りを感じたらたとえば、「深呼吸」「やるべきことや解決策をリストアップ」「今やれることに集中する」「一度寝てクールダウン」等の対処法があります。一人ではうまくいかない場合は、誰かと一緒に状況や気持ちを整理すると効果的です。論文の執筆や追加の実験に励んでいる方も多い時期ですね。もし焦りとの付き合い方に手こずったら学生相談所も利用してください。皆さんが充分に力を発揮できますように。