「やる気」の構造

2016.09.24

こんにちは、カウンセラーの榎本です。一雨ごとに秋が深まっていきますね。夏の間「こう暑いとやる気も出ない」と先延ばししていた諸々を、気候的には過ごしやすくなってくるこの時期に少しずつ手をつけていこう・・・と思っているところです。

ところで「やる気」って何でしょう。気力、意欲とも表現しますね。「やらなければならないのはわかっているのに気力が出ない」「期限が迫っているのに意欲がわかない」。こんな風に「やる気」に振り回されている人は多いのではないでしょうか。今日はこの「やる気」の構造について。「やる気」は、心理学上ではモティベーション(動機付け)の問題としてとらえられ、様々な角度から研究がなされています。モティベーションとは、「行動が生起し、維持され、方向付けられるプロセス全般」を意味します。

モティベーションを左右する主な要因としては以下の4つがあると言われています。

第一に挙げられるのは「欲求」です。食欲があるから料理をするのと同じように、人間には自己実現欲求や達成欲求なども想定されます。こういった心理的欲求の有無や多寡が行動を引き起こし方向付ける要因として位置づけられます。

第二に「感情」です。不安という感情は未知のことに取り組む気持ちを減退させるかもしれませんし、一方では、心配に促されて準備を入念に行おうとさせるかもしれません。

第三に「認知」です。その人の認識、信念がモティベーションに影響すると捉えられます。その行為、目的、結果、あるいは自分自身にたいして、その人がどのような意識や意味を抱いているか、あるいはいないかが「やる気」を左右すると考えます。たとえば自分の有能さについてどう意識しているか。「時間をかければ少しずつでも熟達できるはず」と思えていれば、まずは着手してみようという気力がわくでしょうし、「どんなにがんばっても自分には無理だ」と思っていれば、そもそも手をつける気にもなれないでしょう。ただし、本人が自分の認知に気づけていない場合もあります。

第四の要因が「環境」です。どんな人たちと一緒に過ごしているか、どのような文化集団に身を置いているかなど人的環境がやる気に作用するのは想像に難くありません。あるいは周囲の騒音、デスクの位置や椅子の座り心地など物的環境もモティベーションに影響を与えます。

「新学期が始まるのにどうにもやる気が出ない」「論文を書かなくてはいけないのに手がつけられない」と困っている人は、「やる気」を分解して考えてみると何かしらのヒントが見つかるかもしれません。