問うと答える

2016.08.09

こんにちは、カウンセラーの川崎です。
暑いですね。先日暑い中川沿いを自転車で走っていたら、突然ずしんという衝撃を腹部に感じ、慌てて調べてみたところ、どうやらあぶに刺されたようでした。

さて、今日は問うと答えるについて。質問を形態で分類したとき、Open Question とClosed Question に分けることがあります。後者が「はい」「いいえ」等返答が制限的になる質問です。「あぶに刺されたんですか」「はい、刺されました」というような質問がこれにあたります。対して前者は、返答に自由がある質問を指します。「そんな顔してどうしたんです」「実はあぶにさされて、猛烈にかゆいのです」といった質問がこれにあたります。明快な分類方法だと思います。

一方で、臨床心理学のテクニックに「ソクラテス質問法」というものがあります。ソクラテスの如く、対話の中で相談者をある方向へと導いていくような質問群をいうわけですが、とある先生は、「ソクラテス質問法」を本来Open Question に分類されるであろうと前置きしつつも、実際には、その質問の機能という観点から、Open Question とClosed Question の中間に位置する質問形態であると論じています。質問の機能として、「疑問点の解明」「話題の焦点化」「話題を同レベルものにずらす」「話題を深める」等が挙げられています。「あぶに刺されてどう感じたんですか」「それからどう動いたんですか」等が「ソクラテス質問法」に該当するでしょうか。たしかに、誘導、返答の自由度という意味で、中間くらいに位置されそうです。こういった質問の機能によって会話は紡がれていくんですね。

問うと答えるは、実際の会話に限らずいろんな比喩的表現にも使えます。例えば、「生きる意味を問う」という表現。臨床をしていると時折耳にする言葉です。我々はなんのために生きているんでしょうか。これに対して、実存分析を唱えたフランクルはとてもシンプルで力強い回答を述べています。正確な引用ではないですが、曰く、問うからの180度の転換が必要なのである。生きることを問うのではなく、生きることの問いに私たちがどう答えるのかが問題なんだ、ということです。
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ではでは。