
「忙しく予定を入れていないと不安で…」
「なにものかにならないといけない…」
「とにかく生産性をあげないと…」
このような思いを抱える学生さんに出会うことが多くあります。
私は勝手に「生産性強迫」と名付け、結構深刻な現代の病なのではないか、と感じたりもしています。
なにかを生み出していないと、この世界にいてはいけない。そう感じるのは、その人なりの背景と必然性があってのこととはいえ、とても苦しいことです。
写真は、以前見学させて頂いた、鹿児島にある障害者支援施設『しょうぶ学園』で作られた作品の一つです。
しょうぶ学園では、様々な障害をもった利用者とスタッフが、美術、陶芸、木工など、アートとクラフトを通じて、コラボレーションしながら豊かで創造的な暮らしを送っています。
できること、できないことは人それぞれ。
難しい細工はできなくても、たたくことができる人であれば、好きなだけたたいてもらう。
そうしてできた傷や穴に、スタッフが塗料を塗り、枠をつければ、味わい深いプレートになります。それが商品になり、暮らしを支えていきます。
利用者が作るものには、なにかになるものもあれば、なににもならないものもあるようですが、でもそれでいいと言います。何かを生み出さないと居場所が与えられないのではなく、ただ居ること、そこで自分なりにできる形で表現することが大切にされていて、それが豊かな創造の場を生み出しているのです。
ただ材料代は稼がないといけません。そこでスタッフも日々頭を悩ませ、創意工夫を重ねていきます。
なにかを生み出すことは、時に苦しみを伴うものですが、それを支えるには安らかな場や環境が大切であることを、しょうぶ学園は教えてくれているように思います。
なにかを生み出すからいていい、ではなく、いていいからなにかを生み出せる。そんな安心感が現代にはもう少し必要なのかもしれません。
(大塚)
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