箱庭療法の話~言語以前の体験世界

2015.12.01

こんにちは!カウンセラーの田中です。

みなさん、この写真なんだか分かりますか?
「箱庭療法」の作品です。(この作品は例示のために私が作ったものです)
箱庭療法とは心理療法の一技法で、砂の入った箱とたくさんの玩具を使って自由に好きなものを作ってもらうというものです。
なにか特定の病気を治すために行うというよりも、こころの中にある言葉以前のものを表現したり、あるいは自由に表現するなかで自分のこころの奥底とつながっていくような体験を支える方法だと思ってもらうといいかもしれません。

箱庭療法に砂は欠かせません。
触ってみると、きめ細かくてさらさら、ふわふわしている感じです。
触る人によっては温かいと感じたり、冷たくてひんやりと感じたりするかもしれません。
砂に触るだけでも退行作用があり、こころが癒されたり生き生きしたりする体験が得られます。

玩具もたくさんの種類が用意されています。
もちろん、頭の中でこういうの作りたいなと思いながら玩具を選んで置いていくこともできますが、それだけでは説明できないような「これじゃないとなんかダメ」「ここにこの玩具を置くとすごくぴったりする感じ」という言語以前の体験に突き動かされて箱庭の世界を作っていくとき、箱庭療法は力を発揮するように感じます。

何気なく置いた玩具がとっても大事なもののように思えてきたり、気になって置いてみたもののどうにもこころに引っかかりが残るような玩具があったり、ふと思い出すような記憶があったり、なんとなく身体がむずむずしたり…。
自分でも普段意識していないような部分が動き出してくることがあるのでとても不思議です。

私たちは言語に頼って生きていますし、なんでも説明しようとしてしまいます。特に研究に携わるみなさんにとっては言葉を使って他者に伝える作業は必要不可欠ですよね。
言語の世界にいると、つい言語以前の世界を忘れがちになってしまいます。箱庭療法みたいな方法は私たちの中にあるそういう部分への通路になってくれることがあります。それがもしかしたら癒しの効果につながるのかもしれません。

ただ、箱庭療法をしないとそういう部分に触れられないかというと、そういうわけではないと私は思っています。
実験しながら覗いている顕微鏡の中になんとも美しい物質を見つけた時に、
数式を解きながら解に近づいていく何とも言えない身体感覚の中に、
古典文献に没頭して作者の織り成す世界観に入り込んでいくときに、
きっとえも言われぬ大事な体験が生じているのではないでしょうか。
日々忙しく、言葉にすることが強く求められる中では、それを感じたり、味わったりする余裕がないかもしれないですが、そういう世界への視点があってもいいのかな思います。

そういうことちょっと考えてみたいな、感じてみたいなという人も学生相談所に来ていただけたらと思います。
箱庭療法もできますよ!