朝晩は空気がひんやりしてきましたし、本郷や駒場のキャンパスでは銀杏のにおいも漂ってきました。今夏、猛暑の後です。厳しい寒さがやってくる前に、秋めいてきたこの時季を楽しみたいですね。
さて、マインドフルネスという言葉を耳にしたことはあるでしょうか。定義は様々ですが、シンプルに述べると「今、ここでの自らの体験(自分自身を取り巻く環境や自分自身の反応)にリアルタイムで気づき、受け止め、味わい、手放すこと」です。マインドフルであるためには、自分の体験を眺めることのできる「もう一人の自分」を作らなければなりません。また「もう一人の自分」は観察し気づいたことについて、評価したりとがめたり否定したりはしません。「あ、ふーん、そうなんだ」「なるほどねえ」と受け止め、素直にそのことを享受して(何なら面白がり)、どのような体験もそのうちに消えていきますので、消えるに任せて流していくというのが、マインドフルネスです。
たとえば、今、ここにある自分をマインドフルに眺めてみると、「なんだか体が重だるいな」と感じ、「あんまりやる気がわいてこないな」と思ったとします。そういう状態に対して、即座に「栄養ドリンクでも飲むか」とだるさをコントロールしようとしたり、「〇〇の締切りが近づいてるのに、そんなだらけたこと考えてたらダメじゃん」などと突っ込みを入れる…のではなく、「ふーん、なんか今だるいんだー」「へー、そう思っちゃってるんだ」とそのまま受け止めるということです。そうは言っても、締切りのことが頭に浮かんでくるし、怠惰な自分を責めてしまう。「ただ受け止めるなんて無理!」と考える人もいるでしょう。そういう場合、「ああ、自分は締切りが頭から離れないし、だるいと思ってる自分を責めてるんだなあ」と受け止めます。
マインドフルにあることができると、過ぎたことにとらわれたり、起こっていないことを考えすぎたりすることから解放されて、今、ここの現実に集中できます。マインドフルにあると、エネルギーを節約できたり、不安や恐れを手放せたり、動じない状態を育むことができます。
マインドフルネスを身に着けるには、ある程度の体験を要するのですが、大丈夫です。いつでもどこでも練習が可能です。キャンパス内の道のりをマインドフルに歩く、今日の昼食をマインドフルに食べる、今ここで自分の呼吸や体に意識を向けてみるなどなど。
学生相談所でも、時おりマインドフルネスのワークショップを開催しています(お知らせ欄に掲載します)。興味のある方はぜひご参加ください。