研究の目的と意義
本研究は「精神疾患を持つ人が社会生活目標達成を図るための、WHOのICFモデルに準拠し当事者と評価者の共同を重視した強みと弱点の評価尺度」を開発することです。
精神疾患を持つ人(精神疾患当事者と呼びます)が社会参加することを促進するために精神疾患当事者への働きかけを強化することが求められています。そのためには当事者の障害と強みを適切に評価し、どのように働きかければ社会参加が促進されるかを、支援者・当事者がともに知ることができる評価尺度が求められます。
本研究では、その評価尺度を開発することを目的とします。
本研究は、福島県立医科大学を中心とした多施設共同研究です。現在、下記の当事者リサーチャーを募集しております。
ご関心がございましたら、精神保健支援室の澤田までご連絡ください。
連絡先アドレス:kingosawada-tky[at]umin.ac.jp(送信の際には[at]を@に変換してお送りください)
共同研究機関:東京大学相談支援研究開発センター実践開発部門精神保健支援室
共同研究機関の研究責任者:澤田欣吾
研究代表者:福島県立医科大学会津医療センター精神医学講座 丹羽 真一
令和2年度:
ICFの生活機能モデルに主観的体験の因子を追加したモデルにそって、「精神疾患にともなう障害の評価法」に含むべき評価尺度を作成するために、精神疾患当事者(当事者アドバイザー)にインタビューを行います。その意見を元に研究者は評価尺度(予備的)を作成します。
評価尺度は評価対象当事者が自分で記入する尺度Aと、支援者が評価対象当事者につき評価する尺度Bの2つのセットから構成します。評価に要する時間は尺度Aはおおむね1時間程度で終了できるものとし、尺度Bは評価する支援者のペースにまかせます。尺度A、Bの評価項目数は約50と想定しています。
研究者が作成した約100項目の評価尺度(予備的)について、更に当事者アドバイザーとは別の精神疾患当事者(当事者リサーチャー)にインタビューを行い、その内容の適切性について意見を聴取します。
2つのインタビュー調査でいただいたご意見は福島県立医科大学に集められ、令和2年末までに開発する評価尺度全体の設計図を作成します。この全体の設計図に基づき令和2年度中に評価尺度(第一次案)を作成します。また、B.評価結果の活用の仕方を明らかにするために、「目標指向的活動向上プログラム」という支援プログラムの開発設計図を令和2年度中に作成いたします。
また、当事者アドバイザーについては、2021年度に計画される第二段階にも参加いただく予定ですが、その際には改めて同意をいただきます。