〜「キャンパスウェルビーイング推進分野」設⽴のご報告と今後の展望〜
概要
相談支援研究開発センター(学生相談ネットワーク本部を改組、発展させて2008 年に発足)では、相談件数がこの15 年間で約1.5 倍に急増し、その相談内容も多様化・複雑化しています。また、構成員の多様性の尊重や包摂性のさらなる推進が、⼤学全体の⼤きな課題となっています。
このような状況に対し、従来の個別的・問題解決的・治療的アプローチだけでは限界があることから、キャンパスを⼀つのコミュニティとして捉え、そこに集う全ての構成員が心身ともに健康で、生き生きと過ごせる状態、すなわち「ウェルビーイング」をキャンパス全体で育んでいく「キャンパスウェルビーイング推進」という新しいアプローチが必要であると考えました。
実際に、精神的な豊かさや健康までを含めた「ウェルビーイング」概念や、コミュニティ全体に対する働きかけは、近年先進国を中心に注目されています。キャンパスウェルビーイングの推進は、個々の構成員だけでなく、組織全体が良い状態であることを目指し、全構成員が生きがいを実感し、能力と創造性を発揮し、将来にわたって幸福を享受できることを目指します。また、多様化・複雑化する心理的課題の解消や予防にも貢献することを期待しています。
「キャンパスウェルビーイング推進分野」は、こうした理念のもと、「誰もが来てよかったと思えるキャンパス」の実現に向け、令和7年度の⽂部科学省概算要求で承認され、同年10⽉1⽇から本格的に活動を開始しました。
今後の展望
キャンパスウェルビーイング推進分野は、令和7年度に新たな教員を2名迎えるとともに、センター所属の教員6 名にも兼務してもらうことで、活動の基盤を整え、令和8 年度にはプログラムの開発と初期実装、令和9 年度にはプログラムの拡充と効果の評価、そして令和10 年度には全面的な実装と持続可能性の確保へと進む5 年間の計画を⽴てています。
センターに蓄積された豊富な相談支援の知見を最⼤限に活用し、キャンパスを⼀つのコミュニティとして捉える新たなアプローチにより、「誰もが来て良かったと思えるキャンパス」の実現を目指します。本取り組みの成果は、国内外の他の⾼等教育機関や社会全体への波及効果も期待しており、「誰もが生きやすいコミュニティ」を育む新たな方法論としても発信していく予定です。


