分離不安について(ご両親へ)

こんにちは、カウンセラーの榎本です。

卒業、修了の季節です。

学生相談所を利用してくださり、在学期間内に相談を終える方には、「何かあったらまたいつでもどうぞ」と声をかけることがあります。しかし、卒業で利用を終える方には、そうすることができません(利用対象は在学生のみなのです)。
カウンセラーは、たくさんの応援と励まし、いくらかの心配な気持ちを込めながら、毎年学生さんを見送っています。そうしながら、私はご両親が子どもたちを大学に、社会に送り出されるときの心持ちと重ね合わせてみたりもします。

もしかすると、親御さんの中にもこのページをご覧くださる方がいらっしゃるかもしれません。今日はご両親に向けて、コラムを書いてみます。

少し堅苦しい話ですが、大学生や大学院生の大半の方は青年期という発達段階にあります。
この時期は、青年が親の影響から離れ、物理的にも心理的にも独立を果たしていくとき。
それまで、何の疑いもなく受け入れ倣ってきた親の価値観に疑問を感じ、その疑問に向き合い、自分は親とは別の存在であると認識し、親とは別の自分、別の生き方を見つけていくプロセスです。

その渦中では、何かあればまだまだ「親に頼りたい」「守ってほしい」という気持ちと、「自分でやっていきたい」「口出しされたくない」という気持ちとの両方があり、その相反する要求が対立するため、一時的に不安定な状態になるのは通常のことです。この状態のことを「分離不安」という言葉で表現することもあります。

さて、この「分離不安」は子どもの側だけではなく、青年期の子どもをもつ親の側にも生じえます。
子どもが精神的自立をしようとしていることに対して、寂しさや心細さ、置いていかれるような悲しさ、あるいは心配や罪悪感というような感情状態になることがあるかもしれません。

青年期にある彼ら彼女らが、依存と独立の間で葛藤するように、お母様お父様の側も、子どもの自立にあたって、困惑したり迷われたりすることがおありだろうと思います。カウンセリングをしている目の前の学生さんの向こう側に、お会いしたことのないご両親の様子を浮かべながら、ご両親の気持ちを想像することもあります。

こういった「分離不安」の感情を持つことは、自然なことですが、時には苦しいものでもあるでしょう。では、どうやって付き合っていくのか、乗り越えていくのか。

高石(2015)は、いつまでを子育てとするのかゴールを決める、空の巣症候群に陥らないため子どもの巣立った後の人生プランを具体的に考えておく、横の関係(夫婦関係、友人関係等)を再構築するの3つを提案しています。

正解はなく、それぞれ手探り作業ではあろうと思います。そうした先に、また別の形でのよい親子関係と結びつきが繰り広げられるのではと思っていますし、そう願ってやみません。

参考文献
高石恭子(2015).「学生の『巣立ち』をめぐる今日的課題-空の巣症候群に陥らないための親の心得とは-」講演記録 追手門大学学生相談室報告書.